【書評】ビッグデータと人工知能 可能性と罠を見極める 汎用人工知能は生まれない!?

書評

こんにちは

悟です。(@rxf7oqjSU4v473O

今回は、「ビッグデータと人工知能 可能性と罠を見極める」を読んだのでその書評を書いていきます。

単語自体はもう聞き慣れた方も多いとは思いますが、言葉だけが一人歩きしており、正しく理解出来ている人は少ないのが現状です。

企業同士の会話でも、「AIでなんかしてよ!」という会話が行われるようですので、一般の人であれば更にその傾向は強いと思われます。

本書では、そんなバズワードの本質について簡潔にまとめてあり、なぜ人工知能が盛り上がりを見せているのか、その歴史や実態を知ることができます。

本書の内容

第一章 ビッグデータとはなにか

1.1 データが主役の時代

ビッグデータはデータ量(Volume)、種類(Variety)、速度(Velocity)の3つがそろって実現します。

カードの購買データやSNSの投稿、検索データなど近年急速に増え続けるデータに加え、モノのインターネットが加速することにより更にデータに多様性が増します。

そしてそれらをつなぎ合わせる高度な処理を高速で行うコンピュータ技術がデータの価値を飛躍的に高めています。

1.2 富とセキュリティ

ビッグデータ化により、データが富を生み出すという発想が生まれました。

これまでのテレビによる画一的な広告から、Googleに代表される検索履歴から興味を絞り込みそれに合致した広告を出す。

このようにデータを存在が富へとつながることが知られ、どの企業もデータを集めようと必死になっています。

1.3 越えるべき壁

その一方で問題となるのがプライバシーで、検索履歴や購入履歴から個人の行動は既に丸見え状態です。

売り込み程度であればスルーできますが、生命保険の審査や融資などの判断にそれらの情報を利用されるとするとどうでしょうか。

使っている技術に差がなくとも、これらの線引きを今後どのように行うかは重要な問題です。

第二章 機械学習のブレイクスルー

2.1 人工知能ブームの再来

今日の人工知能は、ビッグデータと一体不可分で、ビッグデータをコンピュータで統計分析などの各種分析をさせてしまおうというものです。

また、人工知能のブームは実は第3回目で、今度こそ実社会で日の目を見そうな勢いです。

2.2 深層学習の登場

その第3次AIブームの正体が深層学習です。深層学習はパターン認識と機械学習のブレイクスルーになります。

これまでのブームにおいて習得した「論理」と「知識」に加え、「統計」を加えたことで、様々な問題を解けるようになりました。

第三章 人工知能が人間を超える!?

3.1 シンギュラリティ狂騒曲

シンギュラリティは、技術的特異点のことです。

テクノロジーが急速に変化し、それにより大きな変化が発生し、人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまう未来のことです。

3.2 生物と機械の違い

生物と機械の違いは本書の中で非常に重要なテーマです。

プログラムとは「前もって(Pro)、書く(gram)」ということで、機械はデータの処理の仕方が前もって決まっているので、設計者やプログラマーが意図した行動しか取ることが出来ません。

3.3 ロボットとのコミュニケーション

ロボットとのコミュニケーションの現状は、膨大なテキストや会話データから、それぞれの単語の関連性を元に最も適していると思われる言葉を返しているに過ぎません。

見かけ上会話ができているように見えるだけで、そこに意味解釈などは一切含まれていません。

第4章 自由/責任/プライバシーはどうなるか?

4.1 一神教の呪縛

先に述べたようにロボットとのコミュニケーションは擬似的なものです。

そのため、本来多様な意味を含む言葉を1つの意味に定義する少々強引なものになってしまっています。

4.2 社会メガマシン

人間を超える汎用人工知能までの道のりは果てしなく遠いのですが、ある分野に特化した人工知能は各分野で威力を発揮するはずです。

その上で、社会のあらゆるデータを利用し、個人の行動に影響を与える社会メガマシンが誕生する恐れがあります。

第5章 集合知の新展開

5.1 ビッグデータと集合知

ビッグデータ化によりあらゆるデータに対して統計分析が可能になります。

その結果、集団としての特性を抽出(集合知の誕生)が可能になります。自分はこう考えるが、集合知はどうだろうか?という選択肢をとることがでるようになります。

5.2 人間と機械の共働

AIが仕事を奪うことは現時点のAIでは考えにくく、人間の意思決定を補助したり、大量の分析を行うという部分が大半になるようです。

ビッグデータや人工知能の専門的な研究揮発は大切で、それらが活かされるためには、一般人の理解も重要です。

汎用人工知能への課題

シンギュラリティに到達するAIは現在実用化されているAIとは異なり、汎用人工知能と言います。

一方、現在実用化されているAIは専用人工知能と言います。

深層学習によって機械学習の精度があがり、パターン認識の能力が向上したことは間違いありませんが、それもまだ専門人工知能の域を出ず、機械翻訳や、掃除ロボットなど特定の目的を達成するためのものです。

そして、どの技術も現状では、機械的にデータを分類したり予測しているに過ぎません。

いかにも知能を持っているように見えて、概念などを理解しているわけではありません。

特に言語は難しく、1つの単語でも場面や場所によって全く意味が異なります。ハマチとブリをどのように判定しするのか?というのは当面の課題になるようです。

プライバシーと人工知能

全てのものを理解し人間を超える知能を持つ、汎用人工知能が実現するとどうなるでしょうか。

おそらく「無責任社会」が到来します。

人間が生きる社会にもかかわらず、判断を下すのは、全て「賢い機械」だからです。

機械は、自由意志を持っているわけではなく、他律システムなので責任を問うことはできません。

これが社会メガマシンと呼ばれるものです。

私たちの生活は社会メガマシンによってどのように変わるのでしょうか。

1つはプライバシーです。

私たちの検索履歴などが利用されてしまうことは、先に述べました。

プライバシーの保護のために、私たちはアプリや会員登録の時に「告知にもとづく同意」を行っています。

これは、得られる個人情報の利用を限定する、2次利用を防ぐ目的で用いられます。

しかし、ビッグデータの特性上、一見関係のないようなデータ同士を結びつけたり、相関関係を導けることがメリットです。

保護のために全ての情報の利用を制限していては、一向にビッグデータ利用することが難しくなります。

他国では、データを公開する度合いが日本より高いこともあり、日々新しい発見を行っています。

日本が今後、プライバシーを一方的に保護する方向に動くのか、あるいは明確なガイドラインを整備して利用を進めていくのか、早急に選択する必要があります。

まとめ

以上、本書の内容を簡単にまとめてみました。

AIの能力は大幅に向上したとはいえ、現状では、ある分野で課題解決を行う専門人工知能です。

そのため、まだまだシンギュラリティには遠く多くの研究が必要なのですが、そのギャップについて理解のある人は少ないです。

限定的とはいえ、専門人工知能は各分野で利用され、私たちの生活を変えていくのは間違いないと思われます。

まずは理解の一般人になり、人工知能の現状を把握し、技術革新を後押ししましょう。

そうすることで、世界はよりよく、今よりも便利に変わっていくはずです。