【書評】FACT FULNESS 新しい時代の新常識 貧困、教育、環境、エネルギー、人口問題:世界は常に良くなっている

FACT FULNESS
FACT FULNESS
書評

こんにちは

悟です。(@rxf7oqjSU4v473O

今回は、ハンス・ロスリングさんの「FACT FULNESS」を紹介します。

本書では、初めに国際社会に関する13の問題を出されます。問題と言っても、シンプルです。1つだけ例を出します。

Q.いくらかでも電気が使える人は、世界にどれくらいいる?

A:20% B:50% C:80%

全てこのような問題ですが、正解率が非常に低かったようです。2017年に1万2千人の人にこの問題を解いてもらったところ、全問正解者はゼロ。平均正解数はわずか3でした。(ちなみに私は4問でした。)

ちなみにこの問題の答えはCです。現在は農村部でも電線が通っていたり発電機があったりと、私たちのように使い放題とはいきませんが、夜の室内に明かりをつけたり、携帯電話も当たり前のように使える地域が増えてきています。

本書では、なぜ人々がこんなに間違えてしまうのか?ということを問題の答え合わせをしながら、解説していくといった内容です。

感想

 自分がいかに固定観念にとらわれているか本書は知られています。自分は比較的、世界情勢などに興味がある方だとは思っていたのですが、13問中4問というさんざんたる結果でした。しかも本書には「チンパンジーでも3割の確率で当たる」と書かれているので、私もチンパンジー以下だということです。

 本書を読んで、私たちの気づかないバイアスに気づき、データから正しい結論を見出せるようになりましょう。

目次

本書の内容を目次ごとに簡単にまとめました。

購入する際の参考にしてください。

第1章 分断本能 「世界は分断されている」という思い込み

まずは「先進国」と「途上国」という言葉を使うのをやめましょう。私もよく使っている言葉ですが、それはもう過去の話です。

どんな事でもそうですが、私たちは2種類の言葉で区別してしまいがちです。しかし実際には分布があり、最大値と最小値は沢山ある分布の中のごく一部に過ぎないということをよく覚えて過ごしましょう。

第2章 ネガティブ本能 「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み

私たちはネガティブなニュースが圧倒的に耳に入りやすい環境にいます。悪いニュースの方が話題性がありますし、人の興味をひきやすいですので、当然ニュースになりやすくなります。

そのせいで、必要以上にネガティブなイメージを抱きやすくなります。

第3章 直線本能 「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み

今見えているグラフだけで、そのグラフを判断していませんか?物事には、常に同じ比率で伸び続ける直線と、ある地点で成熟するS字曲線、急激に伸びていく指数曲線などがあります。

いまは直線に見えていても、それ以前や以後を見ると大きく動きが変化することがあるので注意が必要です。

第4章 恐怖本能 危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み

恐ろしいものには自然と目が行ってしまいます。これを恐怖本能と言いますが、本当に危険なものであるとは限りません。恐怖本能を抑えるには、リスク計算が必要です。リスク計算は、「危険度」と「頻度」の質と量の掛け算で決まります。

第5章 過大視本能 「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み

プレゼンなどで表示される数字は必ず何と比較するべきか考えましょう。CO2排出量なら、世界最大は中国ですが、それは人口が多いので当たり前です。そういうケースは一人当たりに直して比較を行います(スケールを同じにする)。

第6章 パターン化本能 「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み

先ほど登場した先進国や途上国もパターン化の1つです。パターン化は重要な考え方ですが、その分類の中に存在する違いや、違う分類間の共通点を探すことで理解が深まります。また、分類間の違いも重要です。後で登場しますが、レベル4の生活をする人の中の違いや、レベル 4と3の生活の違いなどです。

第7章 宿命本能 「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み

国や宗教、文化などは今生きている人にとっては全く変化がないように思えるかもしれませんが、全てのことは少しづつ変わっているということを意識することが大切です。

第8章 単純化本能 「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み

複雑なことを単純に捉え、単純な答えを導き出していることがよくありますが、ケースバイケースであるということを念頭に置くべきです。すべてが数字で解決できるという考え方にも注意が必要です。

第9章 犯人捜し本能 「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み

物事がうまくいかないときは、どうしても「誰々が」「政府が」と考えてしまいますが、それでは何も解決しません。その逆もそうで、うまくいったときにその人が居なかった場合にも同じ結果になっている可能性もあります。仕組みや原因を探るように意識しましょう。

第10章 焦り本能 「今すぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み

未来についての予測は不確かなもので、AIに仕事の5割が奪われるなど、海水温が何℃上がる予測も多分に推測を含んでいます。そのような予測と一緒に語られる、過激な対策にも注意が必要です。

第11章 ファクトフルネスを実践しよう

本書で学んだ事実に基づくものの見方を教育、ビジネス、政治、自分の組織に活かしましょう。

途上国と先進国という言い方はもう古い

私は日本のことを先進国、南アジアやアフリカを途上国と呼んでいました。おそらく、多くの人も呼んでいるでしょうが、もうその言い方は古いと言わざるをえません。

現在は世界を二分するような所得の境目は存在せず、多くの国が先進国と途上国の間に密集しています。そこで、本書では従来の先進国と途上国という呼び方をやめて、4段階の所得レベルを用いて分類します。

少しだけ各レベルについて解説します。

レベル1:1日1ドルの世界

レベル1は1日の収入が1ドル程度の国々です。ネパールやマダガスカルなどの国が当てはまり、焚火で火をおこし、履物はなく裸足で歩きます。筆者は約10億人がこのレベルに該当します。

レベル2:1日4ドルの世界

レベル2は1日の収入は4ドル程度の国々です。中国やバングラデシュなどが当てはまります。移動手段は自転車になり、ガスを使って火を起こせるようになりました。このレベルには20億人が居ます。

レベル3:1日16ドル

レベル3は1日の収入が16ドル程度の国々です。エジプトやフィリピンなどが当てはまります。移動手段はバイクになり、子供たちは高校を卒業し、テレビも冷蔵庫も家にあります。このレベルは30億人ほどいると言われています。

レベル4:32ドルの世界

レベル4は1日の収入が32ドルを超える国々です。日本やアメリカが含まれ、移動手段は車で、子供は大学まで通い、海外旅行に行くなど余暇の選択肢が大幅に増えます。このレベルは約10億人と言われています。

所得が倍になれば生活が変わる

 レベル4の世界に住む私たちにとって、1ドル収入が増えても生活が大きく変わることはありませんよね。ですが、レベル1の人々にとっての1ドルは、生活を劇的に変える1ドルになります。レベル2の人々の1ドルも大きな存在ですが、生活レベルが変わるようなことはないはずです。ですが、レベル2の人々の収入が4ドル増えれば、生活レベルは確実に上がります。

 私たちもきっと所得が倍になれば、これまでの生活からレベルが変わるのではないでしょうか。住む家の部屋数が1つ増えたり、飛行機を頻繁に利用できるようになったり、できることが沢山増えるだろうな、ということは想像できます。

 話がそれてしまいましたが、現代の世界は4つの所得レベルで話をするべきであること、所得が倍になるごとに生活レベルが向上することを覚えておいてもらいたいです。

世界は私たちの知らないうちに良くなっている

 本書では私たちのモノの見方のクセをわかりやすく説明し、それが原因で世界を悲観的なものとして捉えてしまっているとしています。確かにテレビを見れば悪いニュースばかりですし、今も戦争で苦しんでいる人もいます。

 しかし、データを元に見ると、世界は確かに良くなっているということができます。本書では、減り続けている16の悪いこと、増え続けている16の良いことという形で紹介されています。

  • 乳幼児の死亡率は1800年の44%から一貫して低下しており、2016年は4%です。
  • 10万人当たりの戦争や紛争の犠牲者は最多の1942年の201人から2016年は1人にまで減少しています。
  • 1ヘクタール当たりの農作物の収穫量は1961年の1.4トンから2016年には4トンまで上昇しています。

 世界は200年前どころか10年前と比較しても格段に良くなっているのですが、そういった情報はあまり報道されません。だからと言って、今困難に直面している人を無視していいことにはなりません。ですが、世界が良くなっているからこそ、そういった苦しみがこの世代で最後になるように努力しなければなりません。