【書評】ベーシックインカムへの道

書評

こんにちは

悟です。(@rxf7oqjSU4v473O

ベーシックインカムに関する本も三冊目になり、かなりベーシックインカムに関する知識がついてきた気がします。

今回は「ベーシックインカムへの道」を紹介します。

本書は今まで読んできた2冊よりも、「ベーシックインカム」そのものにフォーカスされた内容になっています。

感想

ベーシックインカムの基本的な考え方や、似た言葉との区別、歴史、政策の組み立て、更には実証実験の方法まで書かれています。

ベーシックインカムの本は以前にもいくつか読んでいるので、その書評もぜひ。

本書の目次と概要

 第1章 ベーシックインカムの起源

 第2章 社会主義の手段

 第3章 ベーシックインカムと自由

 第4章 貧困、不平等、不安定の緩和

 第5章 経済的議論

 第6章 よくある批判

 第7章 財源の問題

 第8章 仕事と労働への影響

 第9章 そのほかの選択肢

 第10章 ベーシックインカムと自由

 第11章 推進運動と試験運動

 第12章 政治的課題と実現への道

社会正義としてのベーシックインカム

ベーシックインカムの議論では、既存の社会保障との比較優位性であったり、仕事と生活の在り方の変化などが大半を占めており、ベーシックインカム本来の思想から離れた場所で議論が行われています。

多くの人がご存知ないと思いますが、ベーシックインカムの本来の目的は、「社会正義の実現」です。

社会正義は全ての人々を公平に扱おうという考え方で、その公平さを実現する手段としてベーシックインカムが必要なのです。

いま世界では生涯年収の6割以上は生まれた国によって決まっており、日本に生まれた私たちは世界的に見ても生まれながら恵まれています。

このことから、現在の生活が過去の世代の人々の努力と業績によって成り立っているものだとわかると思います。

そうした、先人たちが築き上げた現代社会は社会共通の遺産とも言い換えることができます。

全ての人は社会配当をもらう権利がある

ベーシックインカムはその失われた権利を部分的に補填するもの

これがベーシックインカムの本来の趣旨です。

フランスのトマス・ペインは

わたしが強く提案しているのは、施しではなく権利、寛大さではなく正義だ……誰かに惨めな生活を強いる結果を招きさえしなければ、一部の人がどれだけ豊かになろうとかまわない

ベーシックインカムは富の再分配ではなく、人類共通の権利です。

ベーシックインカム以外の選択肢は?

本書ではベーシックインカムと他に考えうる政策についても細かく解説されています。

その中で、それぞれの政策との比較軸をここでは紹介したいと思います。

制作との比較軸
  • 社会主義を促進するか?
  • 共和主義的自由を向上させるか?
  • 不平等を縮小させるか?
  • 社会的・経済的な安全の保障を強化できるか?
  • 貧困を大幅に縮小させるか?

これらを具体的に言うと次の様になります。

・安全格差原則ー最も安全でない生活を余儀なくされている人たちの状況が改善しなければならない

・パターナリズム・テストの原則ー一部の集団に対して、制約をかけてはいけない

・「裁量ではなく権利」の原則ー給付する側の権力や裁量ではなく、受給者や対象者の権利と自由を拡大するものでなければいけない

・環境制約の原則ー環境面のコストを課してはいけない

・「尊厳ある仕事」の原則ー仕事選びや働き方に関して、一部の集団を不利にすることはできない

長くなりましたが、これらの原則を元に政策を見るとそれぞれの政策の穴が見えてきます。

ここでは生活保護(資力調査に基づく社会的扶助)を見てみることにします。

まず資力調査では、申請者の私的な事柄に踏み込み、何度も面談を行い給付するか否かを判断を行政が行います。

これは「裁量ではなく権利」の原則を完全に踏みにじっていますよね。

更に申請者が、資力調査を受けるにあたって当然不快な思いをしますし、役所まで足を運ばなければならないなど他の人にはないコストを支払っています。

また、生活保護は世帯単位で行われるため、必然的に1人身の方が需給のチャンスが増えるため、家族を持つという選択肢に対して制約をかけていることにもなります。

最後に、働くことによって給付が打ち切られる可能性もあるため、自由な仕事選びというものを阻害しています。

他の政策もこれらの視点を持って考えてみるとベーシックインカムの優位性を理解できるのではないでしょうか。

 ベーシックインカム実現への壁

このブログでは上に少ししか書けていませんが、本書を読み進めればベーシックインカムがなぜ実現しないのか不思議に思えるほどです。

ですが、ベーシックインカムが実現する為にはまだまだ超えるべき壁が存在します。

ベーシックインカムの課題
  1. 政治的実現可能性を獲得すること
  2. 制度的実現可能性を示すこと
  3. 心理的実現可能性を生み出すこと

    本書で書かれているのは以上3つの壁です。

    まずは、政治家の中にベーシックインカムを表立って主張する人が居ないことです。

    そして、そのような政治家が居ない為に制度設計の構想も練られず、国民がベーシックインカムについてイメージを抱けないという流れでしょうか。 

    政治家の中にもベーシックインカムについて考えている人もいるかもしれませんが、それを表立って言えないということはまだ、ベーシックインカムが市民権を得られていないという意味になります。

    まとめ

    以上、簡単ですが本書のキモの部分を一部ですが紹介しました。

    現在はまだ知名度の低いベーシックインカムですが、アメリカのオバマ前大統領はベーシックインカムについて「今後10年、20年の間に議論されることになる」と発言しています。

    遅かれ早かれ、現在のシステムに限界がきてベーシックインカムについて真剣に議論される日が来ます。

    しかし、世界で唯一ベーシックインカムの実証実験を行っていたフィンランドも途中で実験打ち切りとなってしまった為、今のブームで実現までもっていくのは難しいと思っています。

    ベーシックインカムが実現するまでにもう一度大きなブームが来るでしょう。

    そういったときに建設的な議論が出来るように、そして私たちが理解し発信することでベーシックインカムが一日でも早く実現するようにしていくことが重要だと思います。

    他にも勉強できる本が知りたい方はこちらにまとめてあるので是非ご覧ください。