【書評】ゆめタウンの男 時代を先取りし続ける地方スーパー

書評

こんにちは

悟です。(@rxf7oqjSU4v473O

今回は、「ゆめタウンの男 戦後ヤミ市から生まれたスーパーが年商7000億円になるまで」を読んだので紹介します。

著者の山西義政さんは、西日本を中心に展開するスーパーチェーン、「イズミ」の創業者で名誉会長の方です。また、広島の方は「ゆめタウン」と言った方がわかりやすいかもしれません。

ゆめタウンは、イオンやイトーヨーカドーのような食品館と専門店街を備える総合ショッピングモールです。

特に創業の地である広島では圧倒的支持を得るゆめタウンですが、本書はその創業者の自叙伝になります。

本書の目次と概要

序章 イズミとセブン&アイ、50年目の業務提携

イズミの山西名誉会長とセブン&アイというよりイトーヨーカ堂、伊藤名誉会長は長年個人的な付き合いがあったようです。2018年4月の両者の業務提携の内容とイズミという会社の説明、新しい取り組みについて書かれています。

第1章 原点

出版時に、96歳の山西名誉会長ですが、当然第2次世界大戦を経験しています。戦前から家計を支えるために、アサリや柿を売ってきた経験から、戦後の広島にイズミの前身である山西商店が誕生します。

第2章 小売りの時代が来る!

山西商店の成功から、イズミに名前を変え本格的なスーパーを開業させます。その後、大阪へ進出しますが、半年で閉店となる失敗を経験、その経験から特定の地域に集中出店し、地域シェアを取る「ドミナント戦略」をベースに規模拡大を行います。

第3章 「革新」の作法

1950年台は、まだ車が一般的でなく、ショッピングは街に出て行うものというイメージでした。高度成長期のまっただ中、車が普及し、ライフスタイルが変化すると考え、大きな駐車場を備えた初の郊外店舗を建設しました。

第4章 人を活かせば「喜び」が循環する

イズミは社員に気持ちよく働いてもらうため、大都市の店と比較して遜色ない待遇を備えています。更に、当時はまだ一般的でなかった、教育制度を整備し、女性を店長に据えるなど社員の能力開発にも力を入れてきました。

第5章 挑戦と創造は続く

東征を取りやめ、九州に進出することを決断。競合他社が少なく、大型店も少ない、人口密度の高さなどを鑑みてのことでした。

第6章 小売業の未来をどう描くか

イズミのモットーは「地域一番」です。立地、敷地、建物、アミューズメント、品揃えなどすべての部分で一番にならなければ生き残ることはできません。

セブンでゆめカードが使える!?

ゆめタウンのカード「ゆめカード」をセブンイレブンで、セブンイレブンの「nanacoカード」をゆめタウンで利用可能にする、電子マネーの相互解放に合意しました。

セブンの保有するイトーヨーカ堂とゆめタウンはそれぞれの店舗が地理的に補完関係にあることから、セブンイレブンも含めたスーパー・コンビニともに使えるカードの誕生ということになります。

最近のトレンドでは、自社専用のポイントカード、クレジットカードや○○payなどを作り顧客の囲い込みを行いますが、顧客のことを考えると、このように共同で利用できるお店が増えてくれる方がありがたいはずです。

その点では、イズミは顧客心理を良くわかっていると言えます。

女性管理職、教育制度を早期に導入

 スーパーマーケットという性質上、お客さんの多くは女性層でした。そのため、売り場作りやマネジメントでも女性の活躍の場が多くあります。いち早く気づいたイズミは、男女雇用機会均等法が制定されるより前の、1985年に女性を店長に起用しています。そのほかにも、教育リーダー制度を作り、パートやアルバイトの人でも能力に応じて責任や権限が与えられる環境を作ってきました。

 イズミでは社員の人事に例外を作らないようにしています。権限と能力と責任のバランスを考慮して役職を決めます。能力が高い人は、それなりの役職に就けることが当たり前という考えから、従業員の昇格や降格も頻繁に行われます。また、昇格にはそれぞれの役職に対して資格試験が存在しており、その試験に合格することが最低条件となり、誰の目で見ても公平な人事が行われているようです。

まとめ

本書の内容を簡単に紹介しました。山西名誉会長の半生をたどりつつ、イズミの発展を追うことができる1冊で2度おいしい内容でした。

イズミが広島で優良企業と言われている理由もよくわかりましたし、もしイズミへの就職を考えている人は必読ではないでしょうか。

小売業の未来については暗いニュースが多いですが、イズミはこれからも時代に合った店舗を作り出して、まだまだ成長を続けていくのではないかと思います。