こんにちは
悟です。(@rxf7oqjSU4v473O)
今回は、筑摩新書の「働く女子のキャリア格差」を読んだので紹介します。
本書は女性のワークライフバランスについて書かれた本ではなく、「女性」の中にもいろんな女性がいます。から始まり、多様な働く女性たちを「女性」と1つにまとめてしまっている現状では会社や女性自身の間に誤解が生じていることを指摘しています。
働く女性にも色々なタイプが居るのは、言われれば当たり前だと感じますが、ニュースなどを見てもその当たり前がないがしろにされているなと感じることはよくあります。
他の専門的な本を読む前に、本書を読んでベーシックな部分を理解しておくことをおすすめします。
目次
本書の目次と内容
本書の内容を目次ごとにまとめました。本書を購入する際に見当してみて下さい。
序章 働く母親たちの現状
現代の働く女性は、上の世代を見てきた影響もあり、かなり自分の人生を冷静に見ています。
その結果、「バリバリ働くキャリア派」と「結婚や子育てを重視する家庭優先派」の2つに二極化されていると説明しています。
この二極化が、日本の女性管理職が少ない要因の1つとなっているのですが、キャリアの構築期と出産適齢期が重複する女性にとって、妊娠・出産期の展望を抜きに仕事での活躍プランは描けません。
第1章 女性にまつわる誤解と矛盾
女性の活躍に反対する人はほとんどいませんが、人事や管理職、経営者など実際には悩みの種となっているようです。これは、「女性」をすべて同質と考えてしまっていることが理由です。
女性の中にも、様々な考え方や優先順位があるとい当たり前を認識できていない、企業側が同質性の高い組織を想定していることが主な原因です。
第2章 「女性の敵は女性」問題
女性間の職種の違いや、考えかたの違いによる摩擦も発生しています。
その点も、組織的なマネジメントはもちろん、女性自身もまめな情報共有や家庭のタスクを公的機関にまかせることで解決できる課題だとして解説をしています。
第3章 時短トラップにハマる女性たち
近年は時短勤務など、子育て世代のために様々な制度が実施されています。
しかし、時短勤務を利用すると、業務負荷の小さい仕事が与えられるケースが多くなります。
もちろん時短勤務をする人に気を遣っているわけですが、業績も上がりにくいこともあり、昇進や昇給、キャリアアップ教育の対象から外れてしまう場合もあります。
第4章 ぶら下がりワーキングマザーvs.働きがい
出産を経て職場復帰した女性の意欲が低く、最低限の意欲が低く最低限の労働だけをこなす「ぶら下がり化」する現象が問題となっています。
これが、働くママに優しい職場環境を作った企業で増えているのが、なんともやりきれない重いです。
多くの場合、業務負荷を減らすことで支援をしてきましたが、会社全体の業務は減らないため、誰かが肩代わりをしている構図になります。
これが何人も何人も増えていくと、残った人の不満が高まるのも必然です。
第5章 女性が活躍している会社はどこが違うか
「働きやすさ」は目的ではなく、成果を出すための手段だと捉える必要があります。
その成果は、グローバル化や女性の社会進出に伴う家族形態の変化や消費の変化などによるニーズを捉え競合他社に勝つ、あるいは企業の売り上げ向上に他なりません。
その成果に必要なのが、企業内の多様性であり、多様な人を集めて活躍してもらうためには「働きやすさ」が求められているという図式になります。
第6章 家事育児も戦略的に考える
「仕事を効率化して早く家に帰ろう」という発想ができるなら、「家事育児も効率的にやろう」と思うことも可能なはずです。
夫(あるいは妻)と子どもも1つの組織であり、女性からすると男性を育児に参加させる必要があります。
また、男性が非協力的というのは、「組織的な失敗」であり、新入社員を教育できていないことに近い意味を持つようです。
第7章 女性が活躍する会社にしか未来はない
筆者は、紆余曲折を経つつ「これからの社会は、性別による役割分業ではなく、能力による役割分業に移行していく」と分析しており、その過渡期にある現在は、様々な矛盾や問題を抱えつつ進んでいます。
その多くは、個人の問題というよりシステム的な問題で、企業も個人も個人の問題として捉えず、問題の構造を変えていく必要があると指摘しています。
終章 「キャリア格差」を乗り越える
本書では、実際のワーママが数多く登場してきます。
出産、育児で仕事を離れたうえで現在の活躍があり、その彼女たちを支えたのが「新しい視点」や「意識の変化」です。
現場を離れることを武器に変えることで、女性ならではのキャリアの歩み方が社会に浸透していくのではないでしょうか。
女性同士のミスコミュニケーション
女性の活躍を考える際に、「世代間」の考え方の違いは非常に重要です。
むしろ女性に限らず、男性でも上司の世代と仕事観の違いを感じ、苦しむ場合は多いと思います。
なので女性の世代間で考え方の違いがあるのは当然です。
本書で特に指摘しているのが、40から50代の管理職世代と女性部下のミスコミュニケーションです。
現在、管理職にいる女性たちは、男女雇用機会均等法が制定された時期で、女性が男性と同等に働くことを求められた時期を生き抜いて来ました。
そのため、家庭を持つことを諦めるか、実家や夫などのフルバックアップ体制を取る以外に働き続ける方法がなかったようです。
しかし、現在は長期的な育児休暇も整備されており、取得も当然と言える時代になりました。
そこで当然のように休んだり、時短勤務でも評価してほしいと考える若い女性たちを見て「働く覚悟が甘い」と写ってしまう場合があるようです。
働く女性も決して一枚岩な訳ではなく、様々な事情や考え方を持った多様な集団です。
われわれ男性たちは、「女性」という言葉でひとくくりに判断するのではなく、1人1人に対してフラットな視点で向き合うことが大切です。
そして、何か問題が生じたときに、本当に「女性」の問題なのか、それとも「個人」の問題なのかを考えていきましょう。
子育てに協力的な男性にしよう
出産を機に「夫婦」は「育児チーム」へと変化し、二人で協力し合うことがこれまで以上に必要になります。
そこで問題となるのが家事育児に非協力的な男性ですが、本書では「組織社会化」の失敗であると分析します。
出産直後から乳児と共に過ごし経験を積む女性に対して、男性はどうしても育児に関して経験する機会が少ないです。
そのため、出来ることが少なく、何をやっても母親にかなわないとなり、結局母親に任せてしまいます。この負のスパイラルの結果、非協力的な男性ができあがってしまうのです。
これを防ぐには、育休期間を「夫婦が育児チームへと移行する期間」と捉えて、学習機会の少ない男性に対して積極的に学習機会を提供する(あるいは学習機会をもらいに行く)ことが必要です。
また、男性の育児休暇は、24時間育児に集中せざるを得ないことから、強化合宿的な効果があり、考え方や対処の仕方を夫婦で共有を行うことで、この後大きな戦力になることが期待出来ます。
しかし、これは男性から歩み寄ることが重要で、自ら育児に参加するという意思を見せ、学んでいかなければなりません。
そうでなければ、女性が育休を明けてから、家事育児が回らなくなり、女性にばかり負担が及ぶことになってしまいます。
家庭内の人材を効率的に分配し、アウトソースしよう
育児チームにおいて問題となるのは育児だけでなく、家事も同様です。
それも子ども分を2人で分担していく必要があり、育児と合わせると作業量はかなり増えていきます。
ここで重要な考え方が、家事を「プロジェクト」と考えて、徹底的に効率化を図ることです。
家事はどちらかというと作業にあたり、子どもとの時間を長く割きたいものですから、家事をタスクに分割して、こだわるところと効率化する所を分けていきます。
そして、2人で回らない、あるいは効率化していい部分は、自動化(食洗機やロボット掃除機など)するかアウトソースしていきましょう。
まとめ
簡単にですが、本書の内容をまとめてみました。
女性が活躍するためには、個人の問題として片付けてしまうのではなく、企業や社会のシステム的な課題と認識して対処する必要があるということ。
家庭では、夫婦から育児チームへの変化する必要があり、家事は効率化する部分は効率化し、育児は男性を戦力にしていくことが必要になります。
「男性を戦力にしよう」と言われていること自体が恥ずかしいことですが、いつかそれが当たり前の社会になるよう、私も努力していきます。