こんにちは
悟です。(@rxf7oqjSU4v473O)
今回は今話題の「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」を読みましたので書評を書いていきたいと思います。
目次
感想
本書を読んでみてビットコインやシェアリングエコノミー、評価経済などについて説明した本ではないということに驚きました。
帯をにぎわせていることから、これらについて説明した本だと勝手に思い込んでしまっていました。
もちろん、簡単な説明はありますが、これらが本書のメインではありません。
私はこれまでビットコインなどはよく分からない存在として遠くから見てきたのですが、本書を読んで、ビットコインに対する期待感というものがようやく理解できたように思います。
ビットコインに限らず仮想通貨たちや、シェアイングエコノミーというものが、今後少なからず私たちの生活に入ってくるのはもはや必然です。
国家や企業もなくならないにせよ、これら以外のコミュニティに属することで、1つのものに依存しない、生きやすい世の中が出来上がってくる可能性も見えてきました。
ただ、あまり学術的というかしっかりした根拠が少ないような気がしました。価値主義が実現した後の社会についても基本的に良いことしか書いておらず、読んで自分の頭で考えることが必要です。
個人主義のこのあたりのテーマでは、「○○社の○○さん」を否定して、「個人を価値」が見いだされることを肯定的にとらえていますが、「○○社」の看板があることによって助かってきた人は大勢いるはずです。
もちろん、個人主義を歓迎するインフルエンサー達は、個人の力があるからこそ、歓迎しているのですが、「普通の人が無難に生きていく」のがますます難しくなっていきそうです。
とは言いつつ、内容は非常に示唆に富んでいて、個人主義の流れ自体は進んでいくはずなので、このあたりの知識を抑えておくのは非常に重要ですし、全体的に平易な文章の本書は入門に向いていると思います。
本書の目次
本書の内容について章ごとに重要だなと感じた部分を簡単にまとめていきます。わずか数行ですのでまとめた内に入りませんが、なんとなく雰囲気をつかんでもらえたらと思います。
第1章 お金の正体
お金には価値の保存・尺度・交換の役割があると言われています。
私たちは、気が付くと「お金が欲しい」「お金がない」とぼやき、いつしかお金を稼ぐこと増やすことが目的になってしまいました。
本章ではお金を分解して、近年力をつけてきた新しい経済について概観しています。
第2章テクノロジーが変えるお金のカタチ
テクノロジーによって、社会は分散化が進んでいます。
SNSやLINEを使って郵便などを使わず直接連絡を取る、検索をして世界中の情報にアクセスする、欲しいものはメルカリを使って手に入るようになりました。
社会における「個人」が目立つケースが増えていると言えます。
第3章 価値主義とは何か?
資本主義での価値は「資本」すなわち「お金」です。価値主義では、資本主義では評価されてこなかったあらゆる価値を評価の対象する経済のあり方です。
こちらは下で少し詳しく解説します。
第4章 「お金」から解放される生き方
価値主義が普及した後の世界で起こるであろうことを書いています。
今もそうですが、社会の発展により物質的に満たされた私たちは精神的な充足を求めるようになってきました。その結果として評価されるのが、自分が情熱をもって続けていることだったり、社会に貢献できる行動です。
第5章 加速する人類の進化
価値主義によって、新エネルギーの開発や宇宙開発といった実現まで遠く直ぐには儲からないとされてきた研究にも、価値が見いだされ投資の対象となることが予想されます。これにより人類のあり方が大きく変化する可能性があります。
価値主義の評価する価値とは?
これまでの資本主義で評価されるものは「お金」でした。価値判断の基準はお金になるか、儲かるのかというものです。
一方で価値主義では、
- 有用性としての価値
- 内面的な価値
- 社会的な価値
の3種類です。それぞれ少しだけ解説します。
- 有用性としての価値
有用性はこれまでの資本主義で評価されてきた「お金」です。利用できるか、儲かるか、有益か、というものになります。
- 内面的な価値
私たちは、お金にならないものも価値と判断していますよね。
人から感謝される、信頼されるなど、内面的なものにも価値があると考え、お金を得る手段に成りえるのが価値主義です。
- 社会的な価値
資本主義的には利益がでるとは思えないものでも、社会の持続性を高める行動も価値があると判断します。
これまでの資本主義で課題とされてきたのは、「有用性としての価値」のみをお金に変換してきたという点です。価値主義ではこれらすべてを価値として認めようという考え方になります。
新しい常識が理解できないのは当然
人間は、自分が生れた時すでに存在したテクノロジーを、自然な世界の一部と感じる。15歳から35歳の間に発明されたテクノロジーは、新しくエキサイティングなものと感じられ、35歳以降になって発明されたテクノロジーは、自然に反するものと感じられる ダグラス・アダムス
私は生まれた時から、テレビ、冷蔵庫、洗濯機がありこれらがない世の中なんで考えられません。物心ついたころには、少し大きなデスクトップパソコンが家にあり、高校生の頃にはスマートフォンが普及しました。
私たちにとっては、パソコンをいじったり、スマホを使いこなすのは朝飯前ですが、親の世代にとっては、なじみがなく使いこなせない人たちも多くいます。
このように家にあるもの1つとっても親の世代とはとらえ方のギャップがあります。常識は生きていく上でどうしても作られていってしまうもので、新しいものに対しても、常識と比較して考えてしまいがちです。
ただ、この言葉にあるように、それは私たちが理解できないだけで、おそらく更に下の世代にとっては自然の一部なので、さも当然のように使いこなすはずです。
下の世代の常識を取り入れることができないと、すぐに世界から置いていかれそうなのが現代だと思うので、いつまでも柔軟に新しいことを取り入れていけるように日々新しい刺激が必要だなと改めて感じました。
まとめ
本書では、新しいお金2.0とあるようにお金の価値が今後大きく変化していくことを著者のビジネス経験や知識、最近のトレンドを解説した内容になります。
資本主義の限界から、お金以外の価値観を求めている風潮は確かに感覚的にも理解できる内容です。本書にあるすべてが正しいとは思いませんが、自動化の進行と共に、新しい生き方が許容される流れは間違いないと思います。
ただ、それが実現するためには、本書に書かれていないものがいくつか必要になるとは思います。どうしても今ある国や企業という枠組みは存続していくはずなので、国や企業側がどれだけ対応していけるかも重要な要素だと思います。
テクノロジーが発展したからすべて解決とはいかないでしょう。
私たちが今できることとしては、企業など特定のコミュニティに依存しすぎず、個人の価値を高めていくことでしょうか。